交通事故のあと、整形外科で「頸椎捻挫」と診断されたものの、「このあと、どのように治療を受ければいいのだろう」と迷う方は少なくありません。
首を動かすと痛い、肩まで重い、仕事中に首がつらい。けれど薬だけで様子を見るのも不安で、整骨院で施術を受けたいと考える方もいるでしょう。
この記事では、交通事故で頸椎捻挫・いわゆる「むちうち」と言われたときの治療の考え方、病院と整骨院の役割、自賠責保険を利用する際の流れを整理して解説します。
ここがポイント
交通事故後の首の痛みでは、最初に整形外科などで診察を受け、骨折や脱臼、神経・脊髄の損傷などを確認することが大切です。そのうえで、状態に応じて整骨院での施術を組み合わせるという選択肢があります。
「むちうち」と「頸椎捻挫」はまったく同じもの?
「むちうち」は一般的によく使われる言葉ですが、特定の一つの医学的診断名を指す言葉ではありません。
日本整形外科学会では、交通事故後の首の症状について、外傷性頚部症候群(頚椎捻挫・頚部挫傷)のほか、神経根症や脊髄損傷などを区別して診断する必要があると説明しています。
つまり、「交通事故のあと首が痛い=すべて同じむちうち」と考えるのではなく、まず何が起きているのかを医学的に確認することが重要です。
頸椎捻挫や外傷性頚部症候群では、次のような症状がみられることがあります。
- 首を動かしたときの痛み
- 首や肩のこわばり、重だるさ
- 頭痛
- めまい
- 腕や手のしびれ
- 首が動かしにくい
症状の種類や程度には個人差があるため、事故の大きさだけで状態を判断することはできません。
交通事故後は、なぜ最初に整形外科を受診したほうがいい?
交通事故後に首の痛みや違和感がある場合は、まず整形外科などの医療機関で診察を受けることをおすすめします。
整形外科では診察や神経学的な確認を行い、必要に応じてレントゲンやMRI、CTなどの検査を検討できます。整骨院では画像検査や医学的な診断を行うことはできません。
例えば、追突された翌日から首が痛くなったとしても、その症状が単純な頸椎捻挫によるものなのか、神経などに別の問題が生じているのかを、痛みだけから判断することは困難です。
注意してほしいポイント
事故後に手足へ力が入りにくい、しびれが急に広がる、歩きにくい、意識がおかしい、強い頭痛や嘔吐が続くなどの症状がある場合は、整骨院への来院を優先せず、速やかに医療機関へ相談してください。状態によっては救急受診が必要です。
すでに「頸椎捻挫」と診断されている場合でも、症状が大きく変化したときや、新しい神経症状が出てきたときは、改めて医師へ相談することが大切です。
頸椎捻挫の治療は「首を安静にしていればいい」とは限りません
骨折や脱臼などの重大な損傷が否定された後は、必要以上に首を動かさない状態を長く続けることが、必ずしも望ましいとは限りません。
日本整形外科学会も、外傷性頚部症候群では長期間の過度な安静や頚椎カラーの使用が、首の痛みや肩こりの長期化につながることがあるとしています。
海外のむちうち関連障害のガイドラインでも、状態に合わせて普段の活動を続けることや、首の可動域運動、軽い筋力トレーニングなどを取り入れる考え方が推奨されています。
ここがポイント
「痛いからずっと動かさない」か「我慢してどんどん動かす」かの二択ではありません。危険な状態を除外したうえで、症状に合わせて日常生活や首の動きを少しずつ戻していくことが基本的な考え方です。
例えば、デスクワークで30分すると首がつらくなる場合、いきなり以前と同じ働き方へ戻すのではなく、こまめに姿勢を変える、短時間立ち上がる、作業時間を分けるといった調整が考えられます。
一方、事故直後で痛みが強い場合や、動かすことで症状が大きく悪化する場合には無理をする必要はありません。運動を始める時期や内容は、診断内容と現在の状態に合わせて判断することが大切です。
頸椎捻挫は整骨院でも施術を受けられる?
交通事故による頸椎捻挫などの外傷について、柔道整復師が状態を確認しながら施術を行うことがあります。
ただし、整骨院の役割は病院と同じではありません。病院では診断や画像検査、薬の処方などを行い、整骨院では柔道整復師が身体の状態を確認しながら施術を行うという違いがあります。
また、むちうちに対しては「首を強く揉めば早く良くなる」という単純なものでもありません。
海外のガイドラインでは、活動を保つことや首の運動などが中心的な対応として推奨される一方、手技療法については状態を確認しながら他の対応と組み合わせて用いる考え方が示されています。
そのため当グループでも、首を施術することだけを目的にするのではなく、必要に応じて次のような点を確認します。
- どの方向へ首を動かすと痛むのか
- 仕事や運転、睡眠など何に困っているのか
- 首や肩、背中の動きはどうなっているか
- しびれなど神経症状を疑う変化がないか
- 事故後、身体を動かすことへの不安が強くなっていないか
そのうえで、ソフトな刺激を中心とした施術を行い、施術前後には身体を実際に動かしながら、動きや感覚を確認します。
事故後は「動かしたら悪化するのではないか」「この痛みはずっと残るのではないか」と心配になることもあります。そうした不安も含めて現在の状態を整理し、できること・避けたほうがよいことを分かりやすく共有することを大切にしています。
病院と整骨院、どちらか一方を選ばないといけない?
必ずしも「病院か整骨院か」の二者択一で考える必要はありません。それぞれに役割があるため、状態や必要性に応じて利用を考えます。
病院・整形外科の主な役割
- 医師による診断
- 骨折や脱臼、神経障害などの確認
- 必要に応じた画像検査
- 薬の処方
- 症状の医学的な経過確認
整骨院で行うこと
- 柔道整復師による身体の状態確認
- 首や肩、背中などの動きの確認
- 日常生活で困っている動作の確認
- 状態に応じた手技などの施術
- 生活上の注意点や身体の動かし方についての助言
特に交通事故では、症状の経過を医学的に確認することも重要です。整骨院へ通っているから病院へ行く必要がなくなる、という意味ではありません。
医師から通院や再診について指示を受けている場合には、その指示に従ってください。
自賠責保険を使って整骨院へ通うときの流れ
交通事故によるケガでは、自賠責保険などによる補償の対象となる場合があります。
国土交通省の自賠責保険の支払基準でも、免許を有する柔道整復師が行う施術について、必要かつ妥当な実費が治療関係費として定められています。
ただし、「交通事故なら誰でも無条件で整骨院の費用がすべて無料になる」という意味ではありません。事故状況や保険の取り扱いなどによって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
一般的には、次のような流れになります。
- 警察へ事故を届け出る
- 整形外科などを受診し、ケガの状態を確認してもらう
- 相手方または自身の保険会社へ連絡する
- 整骨院への通院を希望していることを伝え、費用の取り扱いを確認する
- 整骨院へ診断内容や現在の症状を伝える
- 必要に応じて医療機関でも経過を確認してもらう
「整骨院へ行きたいけれど、保険会社へ何と伝えればよいか分からない」という段階で相談していただいても構いません。
ただし、補償の可否や範囲を整骨院だけで決定することはできないため、最終的な保険の取り扱いについては保険会社などへの確認が必要です。
交通事故後の治療で大切なのは「痛い場所だけ」ではなく生活を戻すこと
頸椎捻挫の経過を見るとき、痛みの数字だけに注目する必要はありません。
「首を左右に向けるようになった」「車の運転がしやすくなった」「仕事を続けられる時間が延びた」「夜に眠りやすくなった」など、日常生活で何ができるようになっているかも大切な指標になります。
事故後は身体の痛みだけでなく、運転への怖さ、仕事を休む不安、保険会社とのやり取りなど、さまざまな負担が重なることがあります。
これは「痛みが気のせい」という意味ではありません。痛みは実際の体験であり、その強さや生活への影響には、身体の状態だけでなく、睡眠、活動量、不安など複数の要素が関係します。
ここがポイント
交通事故後の頸椎捻挫では、「首の痛みをゼロにすること」だけでなく、仕事・家事・運転・睡眠など、事故前の日常生活へどのように戻していくかという視点も大切です。
東大阪市のひがし整骨院・八戸ノ里ここから整骨院・長瀬ここから整骨院では、事故後の首の状態だけでなく、どの動作や生活場面で困っているのかを確認しながら施術を進めています。
「頸椎捻挫と診断されたが、これからどう通院すればいいのか分からない」「整形外科へ通いながら整骨院でも施術を受けたい」という場合には、現在の診断内容や保険会社とのやり取りを整理したうえでご相談ください。
参考情報
- 日本整形外科学会「むち打ち症」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/traumatic_cervical_syndrome.html - 日本整形外科学会「外傷性頚部症候群」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/whiplash_injury.html - State Insurance Regulatory Authority, NSW Government「Quick reference guide for the management of whiplash associated disorders」
https://www.sira.nsw.gov.au/resources-library/motor-accident-resources/publications/for-professionals/whiplash-resources/quick-reference-guide-for-the-management-of-whiplash-associated-disorders - Côté P, et al. Management of neck pain and associated disorders: A clinical practice guideline from the Ontario Protocol for Traffic Injury Management (OPTIMa) Collaboration. Eur Spine J. 2016.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26984876/ - 国土交通省「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」
https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/2001/63aa2969/63aa2969.html
柔道整復師・東 剛士が監修しています。
✅整骨院グループ紹介
私たち「ひがし整骨院/ここから整骨院グループ」では、東大阪市・大阪市を中心に、身体の状態や日常生活での負担を確認しながら、一人ひとりに合わせた施術を行っています。
「なぜ痛みを繰り返すのかわからない」「自分の身体が今どのような状態なのか知りたい」
そのようなお悩みに対し、丁寧なカウンセリングと身体の状態確認を行い、分かりやすい説明を大切にしながら施術を進めています。
✅各院のご紹介
▶若江岩田ひがし整骨院(東大阪市)
近鉄奈良線「若江岩田駅」から徒歩3分。
腰や肩の痛み、ぎっくり腰など、身体の不調についてご相談いただけます。
国家資格を持つ施術者が身体の状態を確認し、施術前後の動きや感覚も確かめながら、一人ひとりに合わせて対応しています。
▶八戸ノ里ここから整骨院(東大阪市)
近鉄奈良線「八戸ノ里駅」から徒歩3分。
首や肩のつらさ、疲労感、自律神経の状態が気になる方など、さまざまな身体のお悩みについてご相談いただけます。
身体の状態だけでなく、生活状況やストレスなどの背景にも配慮し、説明と対話を大切にしています。
▶長瀬ここから整骨院(東大阪市)
近鉄大阪線「長瀬駅」から徒歩2分。
腰や脚の痛み、坐骨神経痛などのお悩みについて、身体の状態を確認しながら対応しています。
筋肉や関節だけに限定せず、身体の動きや感覚、日常生活での負担なども確認しながら施術を進めています。
✅はじめての方へ
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