
虫歯がズキズキ痛む。
風邪で寝込んで、身体を起こすのもしんどい。
腰や肩がつらくて、いつものように動けない。
そんなときは、「早く普通に戻りたい」と心から思いますよね。
ところが、いざ痛みがなくなっていつもの生活に戻ると、そのありがたさは意外なほど早く薄れていきます。
「痛くない。うれしい」と感じていたはずなのに、数日もすると、それがまた「普通」になります。
では、どうすれば「普通の毎日」に隠れている幸せに、もう少し気づけるようになるのでしょうか。
今回は、「失ってから気づく」のではなく、「今あるうちに気づく」ための考え方を、心理学の視点も交えながらお伝えします。
・仕事や家事に追われて、今あるものより「足りないもの」に目が向きやすい方
・身体の不調や人との別れをきっかけに、普通の日々のありがたさを感じたことがある方
つらい時ほど「普通」のありがたさがわかる
なぜ、身体がつらい時には「普通に戻りたい」と強く思うのでしょうか。
例えば、虫歯がズキズキ痛んでいる時を想像してください。
食事をしても痛い。
何もしていなくても気になる。
夜もゆっくり眠れない。
そんな状態になると、「早く痛くなくなってほしい」「普通にご飯を食べたい」と思います。
風邪で寝込んだ時も同じです。
普段なら何とも思わずにしている、起きる、歩く、食べる、仕事へ行くという行動が急に難しくなります。
すると、今まで意識すらしていなかった「普通」が、とてもありがたく感じられます。
ところが、痛みがなくなって元気になればどうでしょうか。
最初は「痛くない。うれしい」と感じます。
でも数日たつと、その状態に慣れていきます。
「今日は歯が痛くない。ありがたいな」と毎朝感動する人は、ほとんどいないでしょう。
痛くないことが、また「普通」になるからです。
人は良い変化にも慣れていきます。
心理学では、良い出来事によって高まった幸福感が、時間とともに薄れていくような現象を「快楽順応」と呼びます。
これは、感謝が足りないからではありません。
新しい環境に慣れることは、人が生活していくために必要な能力でもあります。
ただし、その力があるからこそ、今ある幸せまで「当たり前」に見えてしまうことがあります。
普通に朝起きる。
ご飯がおいしい。
自分の足で歩ける。
仕事ができる。
家に帰れば、大切な人がいる。
友人と話ができる。
ペットがいつもの場所で寝ている。
何も起きていない時には、それほど特別なことには感じません。
でも、そのひとつひとつは、本当は当たり前ではありません。
できなくなった時、会えなくなった時、失ってしまった時に初めて、「あの普通の毎日は幸せだったんだ」と気づくことがあります。
「もっと話しておけばよかった」
「元気に仕事ができるって、ありがたいことだったんだ」
「普通にご飯を食べられるだけで幸せだったんだ」
そう感じるのは、失ってから価値が生まれたからではありません。
もともと価値があったものに、慣れて気づかなくなっていただけなのかもしれません。
「今日が最後の日」と考えると、いつもの一日が少し違って見える
どうすれば、失ってからではなく、今あるうちに幸せに気づけるのでしょうか。
ひとつのヒントになるのが、Appleの共同創業者スティーブ・ジョブズが語った「最後の日」という考え方です。
ジョブズは2005年のスタンフォード大学卒業式で、長年にわたり毎朝鏡を見ながら、「もし今日が人生最後の日なら、今日やろうとしていることを本当にやりたいだろうか」と自分に問いかけてきたと話しています。
これは、「やりたいことだけして生きればいい」という単純な話ではありません。
「人生にはいつか終わりがある」と思い出すことで、本当に大切なものが見えやすくなるという考え方です。
例えば、もし今日の夕食が、家族と一緒に食べられる最後のご飯だったらどうでしょうか。
スマートフォンを見ながら、急いで食べるでしょうか。
それとも、少しゆっくり味わって、家族の話を聞きながら食べるでしょうか。
もし今日の電話が、遠くにいる友人と話せる最後の機会だったらどうでしょう。
「また今度でいいか」と後回しにするでしょうか。
もし今日が、元気に仕事へ行ける最後の日だったらどうでしょうか。
仕事には大変なこともあります。
人間関係に疲れる日もあります。
それでも、「自分の身体で動いて働けている」という部分だけを見れば、少し違う景色が見えてくるかもしれません。
もちろん、毎日「今日死ぬかもしれない」と怖がりながら過ごす必要はありません。
大切なのは、怖がることではなく、「今あるものは永遠に続くわけではない」と、ときどき思い出すことです。
家に帰れば誰かがいる。
おいしくご飯が食べられる。
元気に仕事ができる。
大切な人と話せる。
そんな日常は、特別な出来事が何も起こらないからこそ、見過ごしやすいものです。
でも、「これが最後かもしれない」と少しだけ考えると、その時間の価値が見えやすくなります。
つらい時ではなく、幸せな時に「味わう練習」をする
では、つらい時にも「今日が最後の日だと思えば大丈夫」と考えればよいのでしょうか。
それは難しいですよね。
身体が強く痛んでいる。
大切な人との別れがあった。
仕事や家庭のことで気持ちがいっぱいになっている。
そんな時に、「毎日の当たり前が幸せです」と言われても、素直にそう思えないことがあります。
つらい時には、つらい。
悲しい時には、悲しい。
無理にポジティブに考える必要はありません。
そこでおすすめなのが、気持ちに余裕がある時に練習しておくことです。
例えば、おいしいご飯を食べている時。
「これが最後に食べるご飯だったら」と、ほんの少しだけ考えてみます。
そして、ひと口ずつゆっくり味わいます。
温かい。
いい匂いがする。
おいしい。
家族が隣で笑っている。
そんな小さなことに、少し意識を向けてみます。
心理学では、心地よい出来事や感覚に意識を向け、その時間を十分に味わうことを「savoring(セイバリング)」と呼びます。
難しい心理療法ではありません。
日本語でいえば、「幸せをかみしめる」「その時間を味わう」という感覚に近い考え方です。
大切なのは、幸せを無理に作ることではありません。
すでにあるものを見つけて、その時間を少し長く感じることです。
食事だけでなく、いろいろな場面でできます。
お風呂に入った時に、「ああ、温かいな」と感じる。
布団に入った時に、「今日も眠れる」と感じる。
仕事が終わった時に、「今日も一日動けた」と振り返る。
家に帰って猫が迎えてくれたら、いつもより少し長く撫でてみる。
家族が話しかけてきたら、スマートフォンから目を離して聞いてみる。
友人の顔が浮かんだら、「また今度」ではなく、短い連絡をしてみる。
毎回感動する必要はありません。
「幸せを感じなければいけない」という新しい宿題にしてしまったら、しんどくなります。
一日に一回でも、「これはずっと続くとは限らないんだな」と思い出せれば十分です。
そんな練習を繰り返していると、何でもない普通の一日の中にある幸せに、少しずつ気づきやすくなります。
心の状態と身体の調子も、完全に別々ではありません。
身体の痛みが続けば、不安やイライラが強くなることがあります。
反対に、仕事や家庭の負担が重なり、眠れていない時には、いつもより身体の疲れや張りを強く感じる人もいます。
これは、「痛みは気のせい」という意味ではありません。
痛みは実際の体験です。
ただ、身体の状態だけではなく、睡眠、活動量、ストレス、不安、生活環境など、いくつもの要素がその人の感じ方や日常生活に影響します。
ひがし整骨院、八戸ノ里ここから整骨院、長瀬ここから整骨院でも、身体の痛む場所だけを見るのではなく、日常生活で何に困っているのかを確認することを大切にしています。
いつから気になっているのか。
どんな動作で困っているのか。
仕事や家事ではどんな負担があるのか。
睡眠は取れているのか。
症状について、どんな不安を感じているのか。
そして、本当は何ができるようになりたいのか。
こうしたことも一緒に整理しながら、身体の状態を確認していきます。
・「今日が最後の日だったら」と考える目的は、不安になることではなく、今ある時間や大切な人の価値に気づくことです。
・つらい時に無理にポジティブになるのではなく、気持ちに余裕がある時に、食事や会話など身近な幸せを少し味わうところから始めてみましょう。
普通に朝起きる。
ご飯がおいしい。
仕事ができる。
自分の足で歩ける。
家に帰れば、大切な人がいる。
そんな毎日は、当たり前すぎて目立ちません。
でも、その当たり前がずっと続くとは限りません。
だから今日ぐらいは、最後の一日だと思って、ご飯を少しゆっくり味わってみてください。
家族といつもより少し話してみてください。
しばらく連絡していない大切な人が浮かんだら、連絡してみてもいいかもしれません。
普通の日は、思っているより幸せです。
今日を人生最後の日のように完璧に生きる必要はありません。
ただ、「今ある幸せ」を少しだけ味わってみる。
それだけでも、いつもの一日の見え方が少し変わるかもしれません。
そして、身体の痛みや不調によって、その「普通の毎日」が送りにくくなっている場合は、何が原因なのか分からない段階でもご相談ください。
今困っていることや、またできるようになりたいことをお聞きしながら、身体の状態を一緒に整理していきます。
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