「激痛ではないけれど、腰がずっと重い」「朝から腰に疲れが残っている」「仕事が終わるころには腰を伸ばしたくなる」。
このようなだるさを伴う腰痛は、単純に「腰の筋肉が硬い」「姿勢が悪い」だけで説明できるとは限りません。
腰への負担が続いていることに加えて、身体の使い方、活動量、睡眠、疲労、ストレス、痛みへの警戒などが重なり、腰の不快感が抜けにくくなっていることがあります。
ここがポイント
ずっと続く重だるい腰痛は、「どこか一か所が悪い」と決めつけるより、腰に負担がかかり続ける理由を身体と生活の両方から探すことが大切です。
「痛い」より「重い・だるい」腰痛は何が起きている?
重だるい腰痛では、腰まわりの筋肉に負担が続いていたり、同じ姿勢が長く続いたりすることで、「疲れている」「動かしにくい」と感じていることがあります。
例えばデスクワークで何時間も座っている方は、腰を大きく動かしていなくても、一定の姿勢を保つために筋肉が働き続けます。立ち仕事でも同じで、一見動いているようでも、身体の使い方が毎日似ていると一部に負担が集中します。
- 座っている時間が長い
- 立ちっぱなしになることが多い
- 前かがみで家事や仕事をする時間が長い
- 仕事中ほとんど姿勢を変えない
- 運動する機会が少なくなっている
こうした生活が続いている場合、「姿勢を正しくする」ことだけを考えるより、同じ状態を長く続けすぎていないかを確認する方が実用的です。
きれいな姿勢であっても、長時間ほとんど動かなければ身体は疲れます。反対に、多少姿勢が崩れる時間があっても、こまめに姿勢を変えながら動けている方が楽な場合もあります。
休んでも腰のだるさが抜けないのは「疲労」だけが原因ではありません
「疲れているなら寝れば治るはず」と考えますが、慢性的な腰痛では、休息だけでスッキリしないことがあります。
なぜなら、休んだあとも同じ身体の使い方や生活パターンに戻れば、再び同じ場所へ負担がかかるからです。
例えば、休日に腰を休ませて少し楽になっても、月曜日から長時間座り続ける生活が始まれば、夕方にはまた重くなる。このような場合は「回復力がない」というより、負担が繰り返される生活の流れまで確認する必要があります。
また、腰痛が長く続いている人では、身体的な負担だけで症状の強さが決まらないことも分かっています。
睡眠不足、仕事の忙しさ、精神的な緊張、「また痛くなりそう」という不安なども、痛みの感じ方や身体のこわばりと関係します。
ずっと続く腰痛では「原因を一つに決めない」ことが大切です
慢性腰痛では、筋肉、関節、活動量、生活環境、心理的な要因などをまとめて考える生物心理社会モデル(BPSモデル)という考え方があります。
難しく聞こえますが、「腰だけを見るのではなく、その人がどのような毎日を過ごしているのかまで含めて考えよう」という考え方です。
身体の要因
- 腰や股関節などの動かしにくさ
- 一部の筋肉に負担が集中する身体の使い方
- 長時間の同じ姿勢
- 活動量や体力の低下
心理的な要因
- 腰を動かすことへの不安
- 「悪化するのでは」と常に腰を気にする状態
- 仕事や家庭でのストレス
生活・社会的な要因
- デスクワークや立ち仕事
- 家事や育児による負担
- 睡眠や休息が十分に取れない生活
- 忙しくても休めない環境
ここがポイント
腰痛にストレスや不安が関係するからといって、腰の症状が「気持ちの問題」という意味ではありません。身体・生活・心理面など複数の要因が互いに影響するため、腰だけに原因を探し続けないことが重要です。
WHOの慢性腰痛ガイドラインでも、慢性的な腰痛について、身体的・心理的・社会的な要因を考慮した、個人に合わせた包括的な対応が重要とされています。
だるい腰痛を楽にするには「休む」より適度に動くことも大切
腰が重いと、できるだけ動かず休ませたくなるかもしれません。しかし、慢性腰痛では長期間動かない生活を続けるよりも、無理のない範囲で日常の活動を続けることが大切です。
運動療法についても、慢性腰痛では痛みや身体機能の改善に役立つことが複数の研究で示されています。ただし、「この運動だけをすればよい」という一つの方法が全員に当てはまるわけではありません。
まずは特別な筋トレを始める前に、毎日の中で止まっている時間を少し減らしてみてください。
- 座り続けていることに気づいたら、一度立って身体を動かす
- 休憩時間に少し歩く
- 腰を怖がりすぎず、できる範囲で普段の動きを続ける
- 調子の良い日に一気に動きすぎない
- 一度に頑張るより、無理なく続けられる活動を選ぶ
特に慢性腰痛では、「痛いから全く動かない」と「今日は楽だから一気に頑張る」を繰り返してしまうことがあります。
良い日に動きすぎて翌日に腰がつらくなり、また何日も休む。この波が大きい方は、調子の良し悪しに左右されすぎず、活動量を少しずつ安定させることも一つのポイントです。
腰を揉むだけで繰り返すなら「いつ、何をするとだるいか」を確認する
腰まわりの筋肉をほぐすことで、重さや張りが楽になる方もいます。ただし、何度も同じ腰痛を繰り返している場合は、腰そのものだけでなくなぜ腰へ負担が集まっているのかも確認してみる価値があります。
例えば「腰がだるい」という同じ症状でも、実際の困り方は人によって違います。
- 朝起きた直後が一番つらい
- 仕事で2〜3時間座ると重くなる
- 夕方になるほど腰が疲れる
- 立ち仕事の後半になると伸ばしたくなる
- 休日より仕事の日の方が明らかにつらい
- 睡眠不足が続くと腰も気になりやすい
こうした違いを整理すると、単に「腰の筋肉が硬い」で終わらず、どこを見直せばよいのかが具体的になってきます。
当院でも慢性腰痛の方には、痛む場所だけではなく、どの動作で重くなるのか、仕事や家事ではどのような姿勢が多いのか、活動量や睡眠はどうか、腰を動かすことへの不安がないかなどを必要に応じて確認します。
そのうえで身体の動きや感覚を確認し、ソフトな刺激を中心とした施術を行いながら、施術前後の状態も確認していきます。
「ずっと腰がだるい」段階でも整骨院へ相談して大丈夫です
腰痛というと、「動けないほど痛くなってから行くところ」と考える方もいますが、強い痛みになるまで我慢する必要はありません。
「痛いというより重い」「何となく毎日腰がしんどい」「セルフケアをしているけれど、このままでよいのか分からない」という段階でも相談できます。
特に、長く続いている腰痛では、原因を一つに決めることよりも、自分の場合は何が負担になっているのかを一緒に整理することが大切です。
東大阪市で慢性腰痛や腰の重だるさが続き、仕事や家事にも影響している方は、何が原因か分からない状態のままでもご相談ください。
注意してほしいポイント
腰痛とともに急激な脚の麻痺や明らかな筋力低下、急な排尿・排便の異常、高熱を伴う強い症状、大きな外傷後の急激な悪化などがある場合は、通常の慢性腰痛とは分けて考える必要があります。このような場合は速やかに医療機関へ相談してください。
参考情報
- World Health Organization. WHO guideline for non-surgical management of chronic primary low back pain in adults in primary and community care settings. 2023.
https://www.who.int/publications/i/item/9789240081789 - National Institute for Health and Care Excellence(NICE). Low back pain and sciatica in over 16s: assessment and management(NG59).
https://www.nice.org.uk/guidance/ng59 - Hayden JA, et al. Exercise therapy for chronic low back pain. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2021.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34580864/ - Foster NE, et al. Prevention and treatment of low back pain: evidence, challenges, and promising directions. The Lancet. 2018.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29573872/
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