「腰痛がなかなか治らない」「少し楽になっても、また痛くなる」「検査では大きな異常がないと言われたのに、どうして痛いのだろう」。
痛みが長く続くほど、「このままずっと治らないのでは」と不安になるのは自然なことです。
ただし、腰痛が長引いていることと、腰の組織が傷つき続けていることは同じではありません。慢性的な腰痛では、腰そのものの状態だけでなく、活動量、睡眠、仕事の負担、痛みに対する不安など、複数の要素を整理することが重要です。
ここがポイント
「腰痛が治らない」と感じたときは、同じ方法を繰り返すだけではなく、①医療機関で確認すべき状態がないか、②痛みが出る場面、③活動量、④睡眠やストレス、⑤痛みに対する不安や生活への影響まで含めて、一度整理し直すことが大切です。
この記事では、腰痛が続いて困っている方に向けて、「なぜ痛みが長引くことがあるのか」「何を見直せばよいのか」「病院へ相談した方がよいのはどのようなときか」を順番に解説します。
腰痛が治らない=腰の傷が治っていない、とは限りません
腰痛が何週間、何か月と続くと、「骨や筋肉のどこかがずっと傷ついているのでは?」と考える方もいるでしょう。
しかし、腰痛では痛みの強さと身体組織の状態が必ずしも一対一で一致するわけではありません。
腰に負担がかかった直後の痛みでは、筋肉や関節など身体的な要素が大きく関係することがあります。一方、痛みが長期間続いてくると、身体の動かし方や活動量、睡眠、疲労、痛みに対する警戒など、痛みを取り巻く条件も影響しやすくなります。
WHO(世界保健機関)も、慢性の一次性腰痛について、身体的な要素だけではなく、心理的・社会的な要素を含めた包括的で患者中心のケアを推奨しています。
これは「腰痛は精神的な問題」という意味ではありません。
痛みは実際に感じている身体の体験です。そのうえで、痛みが続く仕組みや生活への影響を理解するときには、腰だけを見ていては説明できない部分がある、という考え方です。
「治らない」と感じたときに、まず見直したい5つのポイント
腰痛が続いていると、「もっと強く揉んだ方がいいのか」「もっとストレッチをした方がいいのか」と、施術やセルフケアの種類ばかりに目が向きやすくなります。
しかし、まず確認したいのは「何をすると痛いのか」「何ができなくなっているのか」です。
1.痛みの強さだけでなく「困っている動作」を確認する
例えば、「腰が痛い」という同じ悩みでも、実際には状況が大きく異なります。
- 朝、ベッドから起き上がるときにつらい
- 30分ほど座ると腰が重くなる
- 仕事で中腰になった後に痛む
- 歩いていると楽だが、立ち続けるとつらい
- 靴下を履く動作だけが怖い
こうした違いを整理すると、単に「痛みが10段階で何点か」だけでは分からなかった、身体の使い方や生活上の負担が見えやすくなります。
2.「動きすぎ」だけでなく「動かなさすぎ」も確認する
腰痛があると、「できるだけ動かない方が安全なのでは」と考えることがあります。
強い痛みが出た直後など、一時的に負担を減らすことが必要な場面はあります。しかし、重大な病気やけがが否定されている腰痛では、長期間まったく動かない状態を続けることが必ずしも良いとは限りません。
動く機会が減ると、体力が落ちたり、「この動きをしたらまた痛くなるかもしれない」という不安が強くなったりすることがあります。
反対に、仕事やスポーツなどで負担が大きすぎれば、回復する余裕が少なくなります。
大切なのは、「安静か運動か」の二択ではなく、現在の身体に対して活動量が多すぎないか、少なすぎないかを考えることです。
3.睡眠や疲労が重なっていないか確認する
「仕事が忙しかった週だけ腰がつらい」「寝不足が続くと痛みに敏感になる」という経験がある方もいるでしょう。
慢性的な痛みを考える際には、睡眠や疲労も無視できません。
だからといって、「よく寝れば腰痛が治る」という単純な話ではありません。睡眠時間が極端に短くなっていないか、痛みで何度も目が覚めていないか、休息する時間が取れているかなど、痛みを取り巻く環境の一つとして確認します。
4.「また痛くなるかも」という不安が行動を狭めていないか確認する
例えば、前かがみになったときに強い腰痛を経験すると、その後は痛みが軽くなっていても、前かがみになる瞬間に身体へ力が入ることがあります。
「またぎっくり腰になるかもしれない」と思い、物を拾う、靴を履く、子どもを抱くといった動きを避けるようになることもあります。
このように、痛みに対する恐怖から活動を避けることはfear avoidance(恐怖回避)と呼ばれ、慢性腰痛の研究でも重要な要素の一つとして検討されています。
2021年のシステマティックレビューでは、慢性腰痛の方において、動くことへの恐怖や自己効力感、破局的な考え方などが、その後の身体機能や生活上の制限と関連することが報告されています。
ここで重要なのは、不安を持つことが悪いわけではないということです。
一度強い痛みを経験すれば、同じことを繰り返したくないと思うのは自然な反応です。その不安が日常生活を必要以上に狭めていないかを確認することに意味があります。
5.「痛みをゼロにすること」だけが目標になっていないか確認する
腰痛がある以上、「痛みをなくしたい」と思うのは当然です。
ただ、痛みのことだけを毎日確認していると、「今日は3だった」「昨日より5になった」と、痛みの変化だけに注意が集中することがあります。
そこで、もう一つ確認してほしいのが、生活の中で何ができるようになりたいのかです。
- 仕事中に30分座っていられるようになりたい
- 子どもを安心して抱っこしたい
- 旅行で長く歩けるようになりたい
- 趣味のゴルフを再開したい
- 痛みを気にせず朝の支度をしたい
痛みの数字だけでなく、このような生活上の目標を確認することで、必要な対応も考えやすくなります。
慢性腰痛では「腰だけ」を見ないBPSモデルという考え方があります
腰痛が長く続く場合に役立つ考え方の一つが、Biopsychosocial model(生物心理社会モデル、BPSモデル)です。
BPSモデルでは、腰痛を一つの原因だけで説明しようとせず、身体・心理・社会的な要素の組み合わせとして考えます。
例えば、デスクワークで腰痛が続いている方を考えてみましょう。
- 身体的要因:長時間の座位、運動量、筋力や身体の動かし方
- 心理的要因:痛みへの不安、動くことへの恐怖、過去の強い腰痛経験
- 社会的要因:仕事量、休憩の取りにくさ、育児や介護、周囲のサポート
同じ「腰が痛い」という症状でも、この組み合わせは人によって異なります。
BPSモデルで大切なこと
心理社会的な要因を確認することは、「腰痛は気のせい」「ストレスが原因」と決めつけることではありません。身体の状態を確認したうえで、その人の痛みや生活への影響をより広い視点から理解するための考え方です。
WHOの慢性腰痛ガイドラインでも、慢性腰痛に対して教育、運動、一部の身体的治療、心理的介入などを、その人の状態に応じて組み合わせる考え方が示されています。
NICE(英国国立医療技術評価機構)の腰痛・坐骨神経痛ガイドラインでも、運動や自己管理を中心にしながら、必要に応じて身体的・心理的アプローチを組み合わせて考えることが示されています。
つまり「腰痛が治らないから、もっと腰だけを施術する」という発想だけではなく、今まで確認していなかった要素はないかを考えることが大切です。
「何をしても治らない」と感じたときほど、同じ方法を繰り返さない
長期間腰痛に悩んでいる方の中には、ストレッチ、マッサージ、運動、湿布など、さまざまな方法を試している方もいます。
それぞれが役立つ場面はありますが、思うような変化がない場合には、「もっと回数を増やす」前に、一度立ち止まって内容を整理してみる価値があります。
例えば、次のように考えてみてください。
- ストレッチをすると、その場では楽なのか、その後に悪化するのか
- 歩いた方が楽なのか、休んだ方が楽なのか
- 平日と休日で痛みに違いがあるか
- 仕事が忙しい時期に強くなっていないか
- 痛みを避けるために、以前できていた動作をやめていないか
1〜2週間ほど簡単に記録すると、「朝が悪いと思っていたが、実際には前日に長時間座った日に強い」「休日は比較的動けている」といった傾向が見つかることもあります。
原因を自分で診断するためではなく、医療機関や施術者へ相談するときの情報として役立ちます。
腰痛が続いているとき、自分でできることは?
重大な病気やけがが疑われない腰痛では、無理のない範囲で日常生活の活動を続けることが基本の一つです。
「痛みを完全になくしてから動こう」とすると、長期間ほとんど身体を動かさなくなることがあります。反対に、痛みを我慢して急に強い筋トレやストレッチを行う必要もありません。
まずは次のような小さな調整から考えてみましょう。
- 座りっぱなしが続くなら、30〜60分を目安に一度姿勢を変える
- 運動不足なら、短時間の散歩など続けやすい活動から始める
- 一気に家事をせず、負担が大きい作業を分ける
- 「痛かった動き」をすべて禁止せず、無理のない範囲から少しずつ試す
- 睡眠時間や休息が極端に不足していないか見直す
大切なのは、「腰に良い完璧な姿勢」を一日中維持することではありません。
同じ姿勢を長く続けすぎず、身体の状態に合わせて姿勢や動きを変えていく方が現実的です。
また、運動やストレッチをすると脚のしびれや痛みが明らかに強くなる、力が入りにくくなるなどの変化がある場合は、自己判断で続けず医療機関へ相談してください。
「ずっと治らない腰痛」で病院・整形外科を優先した方がよい症状
腰痛の多くは重大な病気によるものではありませんが、中には医療機関で詳しい確認が必要なケースがあります。
注意してほしいポイント
尿や便が出にくい・漏れるなどの急な排泄障害、股の周囲の感覚低下、脚の力が急激に入りにくくなるなどの症状がある場合は、整骨院ではなく速やかに医療機関へ相談してください。
また、次のような場合も一度病院・整形外科で相談することをおすすめします。
- 強い転倒や事故の後から腰痛が続いている
- 発熱など全身症状を伴っている
- 原因不明の体重減少がある
- がんなど重大な病気の既往歴があり、新しい腰痛が出ている
- 脚のしびれや筋力低下が徐々に強くなっている
- 痛みが長期間続き、日常生活への支障が大きくなっている
必要な医学的評価を受けることと、身体を動かしたり生活を整えたりすることは対立するものではありません。
まず医療機関で確認すべきことを確認し、その後の身体機能や生活上の課題に応じて対応を考えていくことが大切です。
東大阪市で「腰痛が治らない」と悩んでいる方へ
腰痛が続いている方ほど、「どこが悪いのか」という一点だけではなく、どの動作で困っているのか、どのような生活を送っているのかまで確認することが重要だと私たちは考えています。
ひがし整骨院・八戸ノ里ここから整骨院・長瀬ここから整骨院では、痛みの場所だけを確認するのではなく、日常生活で困っている動作や身体の動き、これまでの経過などを確認したうえで施術を進めています。
また、慢性的な腰痛では、必要に応じて仕事や家庭での負担、睡眠、痛みに対する不安、「何をできるようになりたいのか」といった背景もお聞きします。
施術前後には身体を実際に動かし、「痛みがゼロになったか」だけではなく、動かしやすさや感覚がどう変化したかも一緒に確認します。
腰痛が長く続いているからといって、「もう治らない」と早い段階で決めつける必要はありません。
一方で、ただ同じ対処を続けるのではなく、今の腰痛について何を確認できていて、何がまだ確認できていないのかを整理することが、次の一歩につながります。
参考情報
-
World Health Organization. WHO guideline for non-surgical management of chronic primary low back pain in adults in primary and community care settings. 2023.
https://www.who.int/publications/i/item/9789240081789 -
National Institute for Health and Care Excellence (NICE). Low back pain and sciatica in over 16s: assessment and management (NG59).
https://www.nice.org.uk/guidance/ng59 -
Alhowimel AS, Alotaibi MA, Alenazi AM, et al. Psychosocial Predictors of Pain and Disability Outcomes in People with Chronic Low Back Pain Treated Conservatively by Guideline-Based Intervention: A Systematic Review. Journal of Multidisciplinary Healthcare. 2021;14:3549-3559. doi:10.2147/JMDH.S343494.
PubMed -
Ho EKY, Chen L, Simic M, et al. Psychological interventions for chronic, non-specific low back pain: systematic review with network meta-analysis. BMJ. 2022;376:e067718. doi:10.1136/bmj-2021-067718.
PubMed
柔道整復師・東 剛士が監修しています。
✅整骨院グループ紹介
私たち「ひがし整骨院/ここから整骨院グループ」では、東大阪市・大阪市を中心に、身体の状態や日常生活での負担を確認しながら、一人ひとりに合わせた施術を行っています。
「なぜ痛みを繰り返すのかわからない」「自分の身体が今どのような状態なのか知りたい」
そのようなお悩みに対し、丁寧なカウンセリングと身体の状態確認を行い、分かりやすい説明を大切にしながら施術を進めています。
✅各院のご紹介
▶若江岩田ひがし整骨院(東大阪市)
近鉄奈良線「若江岩田駅」から徒歩3分。
腰や肩の痛み、ぎっくり腰など、身体の不調についてご相談いただけます。
国家資格を持つ施術者が身体の状態を確認し、施術前後の動きや感覚も確かめながら、一人ひとりに合わせて対応しています。
▶八戸ノ里ここから整骨院(東大阪市)
近鉄奈良線「八戸ノ里駅」から徒歩3分。
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▶長瀬ここから整骨院(東大阪市)
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腰や脚の痛み、坐骨神経痛などのお悩みについて、身体の状態を確認しながら対応しています。
筋肉や関節だけに限定せず、身体の動きや感覚、日常生活での負担なども確認しながら施術を進めています。
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